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青に透けた肉塊

君は変人に憧れている常識人だった。

背中じゃなくて腰を前に突き出して

 

満たされたい、と渇望する人は、(目的は、はて)満たされた経験が以前にある、ないしは自分の理想を築いた「別の満たされる」を知る人に限る。漠然としている流行病だ。幹から枝を伸ばし、では何をそんなに満たされたいのか、という疑問を芽にしても、花は咲かない。仔細なる理由が判然としないのだ。

 

その病に、罹った。2週間前だ。自分を毅然として貫く男に、暴力を言って自分を憐れんだ。可哀想だと心底に思った。

男が、自分の首を絞める病を抱えていることを非難さえした。

 

泣きながら帰って、家にいた母の膝元で鼻をかんだ。私は、男の強情と意固地を脚色強くしゃくりあげながら言った。

 

満たされたい。私ばかりが献身して。

 

母は、黙って聞いて、私が鼻みずを飲んだタイミングで、小さな事情を諭してから紡いだ。

 

相手に満たされたいと思うばかりでなく、まず相手を幸せにして、その幸せで自分も満たされたら、どう?

 

 

良い人になりたい。そう意にした。