青に透けた肉塊

君は変人に憧れている常識人だった。

芸術、とは、まずひき比べないこと。

私は人と話すとき、だいたいうつむいている。それか全く不自然な方をじっと見つめながら、顔だけは表情豊かに話している。
目が合わせられない。どういった風にすれば自然体なのか、意識しすぎて逃げてしまいたくて、まともに人の顔を見れない。今、こうやって書いているブログも、どんな顔をさせて発信すればいいのかわからないから、文章がかなりぎこちない。
誰かと話すときは、太宰さんじゃないけど、自然の風景なんかを見ながら話したい。人を、顔を見るのは、いやだ。自分のきたない内心が、ぜんぶ吸い取られるようですごくいやだし、相手の表情なんて、どうでもいい。

人が怖い。人への警戒心が強すぎて、自然体でいられない。

生き物より、静物が好きだ。成人しているが、ぬいぐるみとおともだちである。家から見渡せる、関東山地の低い尾根が好き。本を読むが、私は本の内容より、本のかたちが好き。国語辞典は、とくに大好き。

人の顔を見ないし、人の行動も見ていないから、人を描くのが長年とても苦手である。
自分に合った小説って、なんだろうと、最近考える。ヒューマンドラマや、複雑な人間のいざこざを描くことは、少なくともわたしには合っていないだろう。いや、うまく描けないはずだ。
物語とは、だいたいが人間模様を描くものだと昔から決まっている。でも、それが私には合っていない。

新しい文学の創造。これを、密かに企んでいる。夜、おやすみの時間に、電気を暗くして、布団に入って、毛布をおでこまでかぶって、私は自分の新しい文学を想像する。