青に透けた肉塊

君は変人に憧れている常識人だった。

懺悔の詩

あの頃は毎日毎時間毎分毎秒、罪を犯していた。あまりに他人の呼吸を奪いすぎて、自分が苦しくなるくらいに。僕が殺してきた人は、傷を付けてきた人は今も僕を恨み続けているだろう。しかし何も感じない自分が愉快で、滑稽で、ケラケラと笑っていた。そして死にたかった。土下座をして願っても、僕を殺してくれる人はいなかった。僕が殺してきた人はたくさんいるというのに。


幾星霜なんて馬鹿げた表現はしない。だが、少しだけ時間が経過した。僕は重罪をピンと伸ばした背筋の裏に隠して生きている。当たり前のように奪った笑顔を顔に付けて笑っている。


「ありがとう」「優しい」「大好き」「丁寧だ」「面白い」「頭がいい」「優しい」「優しい」


…………「優しい」…


誰かの声がずっと聞こえていた。ふと顔を上げると、周りの人たちが笑っていた。その人たちは、いつも当たり前にいる仲間で、家族で、知り合いで、僕のことを考えてくれている。
涙が出てきた。僕は犯罪者。僕は前科持ち。僕は皆を欺いていて、僕はハリボテの誰かの笑顔しか作れないというのに。それなのに。


それなのに?


はて僕が殺してきた人は、傷を付けてきた人は、今は幸せなのだろうか。僕の罪はいつになったら償われるのだろうか。

もろもろ

背中に羽根は生えてこない、天変地異は起こらない、願うだけでは叶わない、人間は誰かなくして生きていけない、そんなことに最近気づいたんだ。大人になってからずいぶん時間が経って、気づいたんだ。

太陽は必ず昇るとか、恋に恋をしないとか、全ての物事はつながっているとか、そんなモノを今までは大切にしていたんだけれど、つまらなくなることが時々ある。立ち止まって客観視するより、僕は前へ進んでいきたい。自分にしか見えない道を。

目標がある。できないことをできるって言わない、恐れず怠けずていねいに生きる、どんな人も尊敬する…挙げて数う可からず。いい人になりたいって未だに思っている、気づけてはいるんだ、いい人ってなんだろう。

好きな人がいて、その人は持病のナルコレプシーですぐに寝てしまう。ベッドに入るとおおかた眠る。可愛い姿をよく天使のようって言うけれど、僕は天使を見たことがないからあまりわからない。もしも何かに形容するなら、純粋無垢な子のように可愛らしい。

好きって言葉は伝えづらくて、心臓の奥から舌の上までゆっくりしている間にくるまってしまう。それでも心から明瞭な声で、澄み切った気持ちで言えた時に僕はすごく幸せになれる。きっとその人も。


なんでもいいから、溢れるままに書いてみようと思った。
 
簡潔は伝わりやすい、率直であると心を動かす、比喩的に書けばまわりくどいが面白さが増すだろう、感情表現は想い、意志、優しさ・・・。文章は、絵画と音楽の性質や特徴を含有し、きわやかに具現化する芸術である。文章は、時におもちゃのようになり、時に鋭利な武器にもなる。そして私があらゆる文章に通じて思い馳せることは、不完全な完成。
 
今日もまにまに、考える。
私の探し求めている答えはきっとない。自分の型に合う人間がいないように(自分の型が常に変化しないのはおそろしいことだ)過不足のない正解は、この世に、存在しないだろう。人類はそんなことに気づかずに命をつないでいく。誰が何世紀先のために今を生きているのか。まあ、そんなことははじめからどうだっていい。
 

いつだってどうだっていいことを憂える。
大切な話をしようか。
  
挨拶
喜び
ちょっと静かに
感情のない
事実
未熟な否定
ありがとう
 
 
こんなにたくさんのもの、全てを肯定し受け入れてくれるとしたら?
 
 
したら。

詩う

わたくしは
わたくしは
指折り数えて
待つようになりました
お前を
お前を
断ち切ってはばたく
その日を

わたくしは
わたくしは
永遠の愛を誓いました
お前とは
お前とは
姿形も中身も違う
ある独りの阿呆へ

生きているのか
死んでいるのか
楽しいのか
悲しいのか
わからない
かわらない

不思議なものだ
お前とわたくし
誰も知らない
誰もが忘れて
傷だけが残った
涙だけが枯れた

今どこにいるの
野暮
今幸せでいるの
愚問

生まれ変わったら
また、会えるかな