青に透けた肉塊

君は変人に憧れている常識人だった。

2019-01-01から1年間の記事一覧

詩う

わたくしはわたくしは指折り数えて待つようになりましたお前をお前を断ち切ってはばたくその日をわたくしはわたくしは永遠の愛を誓いましたお前とはお前とは姿形も中身も違うある独りの阿呆へ生きているのか死んでいるのか楽しいのか悲しいのかわからないか…

起死回生

小説「盆地」を書き終えたのは昨年の今頃だったか。私は生活や環境に感化され、ずいぶんと人間が変わってしまった。カッターで削っていた鋭利な鉛筆の束は埃をかぶっているし、棚の奥にある原稿はもう色褪せてしまっているだろう。いや、まさか。色褪せてい…

青に透けた肉塊

美しい小説を書きたい。しぼりたての牛乳を注いだ女の身体、すりたての墨汁を流したショートカットの髪、柔らかな草、さらさらと指の間から落ちる新湯、窓辺で午睡する老猫……。音も匂いも風もない、過ぎ去ってゆく一瞬を描いた、この世のどこにもない美しい…

告白

**様 啓蟄が過ぎ、日に日に暖かくなっています。近所の桃はもう満開で、若葉を伸ばしている枝もあります。 窓外から見える桜の木はまだ咲いていないでしょうが、きっともう直ぐです。けれどもあなたは、今は、あすこにいない。そう思われます。 あなたと出…